ふて猫の苦悩
何億光年彼方に輝く星々の中に
一段と穏やかな光を放つものがある。
その星の
此処は
無限の命という
小さく広い憩いの広場。
今日も
何処からか来る者達が
自然に導かれ
集うのである。
そんなある日のお話。
ふて猫が落胆したり顔で
ぼたりぼたり
歩いている様子が確認できる。
『…夢を見すぎたんだわ、
おみゃあさん
…全てではにゃ~がね。
覚悟が足りいひんのだわ。
恐ろしいわ、よく考えてみやあ分かるがね。
この先永く耐えて行けるんか?
とてもじゃにゃーが…
今は、
煮干し一匹買ええせんがね。』
顔面蒼白で脇目も振らず
一心不乱に呪文の様に独り言を言っている。
言葉は出るが
心此処に在らず
と容易に察することができる程に無防備に。
『あきらめたらいいんだがね。
諦める⁉
できぃいひんがね、
諦めるなんてもうたくさんだぎゃ!
諦めないと決めたんだぎゃ。
にしても、
覚悟がたりぃ〜ひんのだわ。
それは自分が1番よう分かっとる。』
ぎりぎり歯軋りと共に
苦悩に歪む顔が同じ言葉を繰り返す。
反対側から来た少女とすれ違うも
ふて猫は一切気付かない。
長くふわふわな髪の少女が
シンクロするように苦しそうに呟きながら歩いている。
すれ違うふて猫には気付かない。
『…』
遠くからずっと人の行き交うのを眺めていた小さな女の子がいた。
2人の大人たちがすれ違うのを
まんまるな瞳で見届けながら小さな女の子が
着ている暖かそうな毛糸の上着のポケットを
思いを決めた様にギュッと掴んだ。
息を吸い込んでから大人たちの方へ走り出した。
小さな手には幾つかの小さな袋を持っている。
つづく