何億光年彼方に輝く星々の中に
一段と穏やかな光を放つものがある。
その星の
此処は
無限の命という
小さく広い憩いの広場。
今日も
何処からか来る者達が
自然に導かれ
集うのである。
そんなある日のお話。
ふて猫と小さな女の子と
そっと、ぽとぽとと
軽い身の小さな女の子が駆け寄り
黒っぽい大きなマントに身を包んだふて猫へ
声を掛けた。
「来てね」
不意を突かれたふて猫は
見上げる大きな瞳の方へ振り返ると
差し出された小さな袋を
受け取っていた。
(ええーっ?)
「これなんだぎゃあー(・・?」
次の少女の方へ走り出していた小さな女の子へ
慌てて声を張り上げた。
離れていく女の子は
「お店屋さんなのー♪」
と言うと
指であっちを差す。
見ると
なるほど
おもちゃのお店屋が建っている。
「これどうするんだぎゃあ❔」
再び訪ねたふて猫へ
「その中にー
おもちゃのお金が入ってるからー
好きなものをー
注文に来てねー
招待だからー」
言い終えると行ってしまった。
頭の中を整理しながら
ふて猫は小さな袋と
小さな女の子の声を
理解したふうに
瞬きをする瞳が少し緩んだ
『ほーかね
招待きゃ…』
暫くの
まごまごと迷う気持ちに加えて
自分があっちのお店屋さんで
過ごす気恥ずかしさが襲った
(せっかくだぎゃ、
子供の遊びだぎゃあ
わしが行かんでも
どうってこと無いぎゃ?
…
あんな小さな子を
裏切るだきゃ?)
でも
一歩が出ない
もうひとりの女の子
踏み出せ無い足元に
もう1つの
踏み出せ無い影が近付いて
そっと見ていた
どうやら
小さな袋も
迷いも
ふて猫同様らしい
ふたりぼやぼやと
立ち止まる間も
時間が音を刻む
カチと金属音を止めたのは
待ちくたびれ始めた
小さな女の子の声だった
『どう
したのー?
ふたりで
どうぞー』
声を掛けられた
ふたりは
ようやっと
(一人より
立ち入り易い)
と
ほっとし始めたと
同時に
可愛い招待に応える為
ワクワクと踏み出した
つづく